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57章 抹消2 [リリカルなのはss]

その日、非番だった私は同じく休みだったお兄ちゃんを誘って近所のなじみの洋食屋さんにランチに行った。
注文して出来上がるのを席で待っていると、ウェイトレスのクレアさんが遠慮がちに私達に話し掛けてきた。

話の内容としてはミッド南部エルセアの地理に詳しいかどうかというものだった。
なんでも今週末の土曜日にエルセアの市民公園で調理器具の見本市が開かれるらしく、そのイベントの入場チケットをお客さんから貰ったので行ってみようと思うが地理に詳しくなく行きつけるかどうか不安だという。



「その公園なら、分かりますよ。
前にその近くに駐屯する部隊にお世話になっていましたから。
でもあの公園は初めてだと、少し分かりにくいかも知れませんね。」

お兄ちゃんのその答えに、彼女の顔が少し曇る。

「そうですか…
情報端末で調べてみても駅からのアクセスが分かりにくかったので少し不安です。」

「・・・もしよろしければ、当日会場までご案内しましょうか?」

不安げな様子を見せる女性にお兄ちゃんが黙っているわけもなく、同行を買って出る。

「え、そんな悪いですよ。
それに、お仕事があるんじゃ・・・」

「別に構いませんよ、その日は特に予定も入っていませんから。」

「で、でしたら、交通費は私が出します。」

「お気遣い頂くなくても結構ですよ、どのみち久しぶりに雫も連れて先の部隊の方に顔を出すつもりでしたので。」

「あ、あの、そういうことでしたらお言葉に甘えさせて頂きます。
それで、もしよろしければ恭也さんも雫ちゃんと一緒にイベント会場に来ませんか?」

恐縮しきりのクレアさんだったけど、その提案は素直に嬉しかったのか最終的にはお願いすることにしたようだ。
加えてお兄ちゃん親子をイベントに誘っていた。
彼女の話によると貰ったチケットは一枚で4人まで有効で、会場内の特設屋外レストランの食事券付きらしい。



その日の夜、その事を家で話すとそれぞれ違った反応が返って来た。
「いいな~、ヴィヴィオも行ってみたいな~。」
「クッ、可愛い顔してやることが意外とあざといんだね、彼女。」

フェイトちゃんが微妙に黒くなってるような気がしたけど気にせず、ヴィヴィオには当事者の二人に聞いてOKだったら行ってもいいよと答えておく。

翌日、どこから話を聞きつけたのかはやてちゃんが『そんな面白いイベント見逃すわけにいかんやろ』と、今週末の土曜日に陸士108部隊の演習をセッティング。
医療担当のシャマルさんを含めた、特捜課のメンバー総出でエルセアに行くことになった。
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