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58章 本棚3 [リリカルなのはss]

「誰を待ってるか知らねえが、誰も来やしねえよ。」

後ろのドアを乱暴に開けて入って来たのは、昼間しつこく声を掛けてきていた片割れの痩せ形の男。
もう一人ボブカットの根暗そうな男がついてきていた。

「何せここは、お前達のいた97管理外世界でもなければ管理局様の威光の届く管理世界じゃない上に強烈なアンチ管理局の管理外惑星だからな。
管理外世界の住人の為にあいつらが動く事なんぞあり得んし、よしんば麗しい友誼で"お友だち"が助けに来てくれたところでこの場所には到底辿り着く事はできないからな。」

どうやら私達は、なのは達絡みで地球から別の惑星に連れて来られたらしい。
戸惑う様子を見せるすずかの様子に気をよくしたのかさらに饒舌になる男。

「この部屋は今は亡き独裁国家の政治犯収容所の地上一階、地下三階の建物の最深部。
地上からここに来るには、一階の正面出入り口から入って長い一本道の廊下の突き当たりのエレベーターか階段で地下一階に下りた後、今度は逆方向に再度進んでからエレベーターか非常階段で地下三階に下りた後、一番奥にあるこの部屋に向うことになる。」

有り得ないことではあるとは思うが万が一の自力脱出の為に経路図を頭に叩き込んでいく。

「当然、入り口や階段周りには見張りが立たせてあるし、地上、地下共に廊下の両脇の部屋に拳銃やナイフで武装したメンバーが待機加えて各所に設置した集音マイク付きの監視カメラで逐一状況を把握できるようになってる。
もちろん魔導師対策もバッチリだ、各所に埋め込んだ強力なAMFがSSSクラスの魔導師も唯の一般人に成り下がるようになってる。
まずこれだけやれば、逃がすような事もあるまいが念の為建物周囲にトラックに分乗した仲間が待機して事が起きればものの数分で駆け付けて外からも制圧できる体制も敷いてあるのさ。」

自分達の防衛計画に酔っているのか恍惚とした表情で警備体制を暴露す、それに対し絶望の表情を見せることなくむしろ希望の光を見出した様子の私に小馬鹿にしたような態度で男は吐き捨てる。

「けっ、おとぎ話の読み過ぎなんだよ。
『きっと、"王子さま"が助けに来てくれる』ってか。」
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