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完全外伝 『翠屋』にて3 [リリカルなのはss 外伝]

バレンタインまであと1ヶ月ほどといったところで、忍ちゃんの提案を受けてお店で流すCMを撮影することになった。

早速機材を用意して、翠屋の休憩室を即席のスタジオに作り変える。
その後アルバイトの子達や家の子達に協力してもらって撮影にとりかかるも、みんな緊張してなかなかうまくしゃべれないようだ。


『空気に向ってあのセリフは流石に恥ずかしい』との声を受け、ダミー人形役を連れてくる。
これが効果てき面、みんなの恥じらいながらの告白がより臨場感を生んでくれた。

忍ちゃんに至っては『恭也、大好き。これ、あげる。』と名前を呼んで、あの子から『俺の名前を言ってどうする、CMにならんだろ。』と突っ込まれ、『だって、呼びかけがないと言いにくいんだもんこのセリフ。それに頭の部分はカットすれば問題ないわよ。』と答えていた。

彼女の真っ赤な顔を見ればそれが照れ隠しだって誰だってわかりそうなものなのに、その答えに半ば納得して苦笑いを浮かべる我が息子。
まぁなのはも『お兄ちゃん、大好き ♪ これ、あげるね。』と一部の男性陣が喜びそうなセリフでまとめていたんだけど。

その後もお店に来てくれた制服姿のフェイトちゃんや、白衣のフィリス先生(リスティさんの協力の元、恭也に病院で撮影させて来た)の告白シーンを撮り溜めて1本のCMにまとめ店内のバレンタインコーナーで放映したところ大反響。
中にはこの『CMのディスクを売ってくれませんか』という男性客もおり、自分用にチョコ菓子を買って帰る方も多かった。
クロノ君、ユーノ君に至っては見た瞬間固まって、数分後 我を取り戻した後でダース単位で買っていくあり様。
そして遂には大手菓子メーカーから破格の提示で版権を譲って欲しいとの申し出があったが、流石にそれはお断りした。

関連商品の売り上げも例年を遙かに凌ぐ勢いで伸びており、この計画は一方では大成功だったがある意味では成果を上げられなかった。


それは…

「恭也、たくさんの女の子から告白された感想は?」

「??何を言ってる、別に彼女達は俺に対して言ってたわけじゃないだろ。」

どこまでも鈍い我が息子に溜息が出るが、続いて出た呟きに一筋の光を見た。

「まぁ、嘘と分かっていても『好き』と言われて嫌な気はしなかったのは事実だがな。」

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