完全外伝 『翠屋』にて1 [リリカルなのはss 外伝]
「3.2.1.キュー!」
「…あ…」
今、私はカメラの前で固まっている。
何とか声を出そうとするも喉がひっついたようになって言葉が出てこない。
「う~ん、やっぱりいきなりは難しいかったかしら。」
「すみません、何だか緊張しちゃって…」
苦笑を浮かべながら停止ボタンを押す店長さんに、俯きながら謝る。
「大丈夫よ、フェイトちゃん。
家の子達もみんな初めはそんな感じだったから。
やっぱり誰もいないのに話し掛けるのはやり辛いわよね。」
恐縮して縮こまる私に桃子さんは気にしなくていいと声を掛け、何か一人で納得したようで私に少し待つように告げてからお店に戻って行った。
ここは海鳴の人気洋菓子喫茶『翠屋』さんの一室、普段はスッタフさんの休憩室として使われているが今はテーブル等は片付けられ壁際に天井からブルーの布が吊るされ、そこから数メートル前に一台のビデオカメラが置かれ簡易の撮影スタジオになっていた。
なぜこんな所に私がいるのかといえば、中学の帰りになのはに誘われて立ち寄った『翠屋』さんの店内でのやりとりが原因だった。
お店に着くと相変わらず盛況のようで、学校帰りと思われる学生さんを中心にテーブル席は埋まっていたのでカウンター席に座らせてもらった。
のんびりくつろげるテーブル席も嫌いじゃないけど、実は私はカウンター席の方がお気に入りだったりする。
「いらっしゃい、フェイト。お帰り、なのは。」
だって、間近であの人を見れるから。
「こんにちは、恭也さん。」
「うん、ただいま、お兄ちゃん。」
オーダーしたミルクティーを貰いながら、なのはと談笑していると厨房からひょっこり顔を出した桃子さんと目が合ったので会釈をする。
すると向日葵のような笑顔を浮かべながら、こちらにやってきて私に話し掛ける。
「いらっしゃいフェイトちゃん、ゆっくりしていってね。」
「はい、ありがとうございます。」
「あ、そうそう、フェイトちゃんにお願いしたい事があるんだけどいいかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「えっとね、今店内で流すCMを自前で撮影してるんだけどそれに出てくれないかしら。
もちろん、出演料も出すわ。」
「私にできる事なら協力させて頂きますけど、本当に私なんかでいいんですか?」
「もちろんよ、フェイトちゃんみたいな可愛い子が出てくれるなら大成功間違いなしだわ。」
「あ、ありがとうございます。あ、それから出演料は結構です、桃子さんにはいつもお世話になっていますから。」
「ふふ、ありがとう、フェイトちゃん。
じゃあお茶が終わったら声を掛けてくれるかしら、お願いね。」
それだけ言い残して、再度厨房に消える桃子さん。
そんなやり取りを見ていた恭也さんが私に声を掛けてくれた。
「悪かったな、フェイト。母さんが変な事を頼んで、嫌だったら断ってくれてもいいんだぞ。」
「大丈夫ですよ、別にTVCMっていうわけじゃないですし、桃子さんのお願いですから無碍にはできません。」
「そうか、じゃあよろしくな。」
そんなこんなでお茶の後連れて来られた簡易スタジオで、何事かが書かれたA4用紙と綺麗にラッピングされたハート型の包みを渡された。
用紙には短い台詞が書かれており、どうやらこのセリフをカメラの前で告げればいいらしい。
「セリフとか動きはアレンジしてもらっても構わないからね、思い通りにやってね。」
こうして、冒頭のシーンに戻ることになる。
「…あ…」
今、私はカメラの前で固まっている。
何とか声を出そうとするも喉がひっついたようになって言葉が出てこない。
「う~ん、やっぱりいきなりは難しいかったかしら。」
「すみません、何だか緊張しちゃって…」
苦笑を浮かべながら停止ボタンを押す店長さんに、俯きながら謝る。
「大丈夫よ、フェイトちゃん。
家の子達もみんな初めはそんな感じだったから。
やっぱり誰もいないのに話し掛けるのはやり辛いわよね。」
恐縮して縮こまる私に桃子さんは気にしなくていいと声を掛け、何か一人で納得したようで私に少し待つように告げてからお店に戻って行った。
ここは海鳴の人気洋菓子喫茶『翠屋』さんの一室、普段はスッタフさんの休憩室として使われているが今はテーブル等は片付けられ壁際に天井からブルーの布が吊るされ、そこから数メートル前に一台のビデオカメラが置かれ簡易の撮影スタジオになっていた。
なぜこんな所に私がいるのかといえば、中学の帰りになのはに誘われて立ち寄った『翠屋』さんの店内でのやりとりが原因だった。
お店に着くと相変わらず盛況のようで、学校帰りと思われる学生さんを中心にテーブル席は埋まっていたのでカウンター席に座らせてもらった。
のんびりくつろげるテーブル席も嫌いじゃないけど、実は私はカウンター席の方がお気に入りだったりする。
「いらっしゃい、フェイト。お帰り、なのは。」
だって、間近であの人を見れるから。
「こんにちは、恭也さん。」
「うん、ただいま、お兄ちゃん。」
オーダーしたミルクティーを貰いながら、なのはと談笑していると厨房からひょっこり顔を出した桃子さんと目が合ったので会釈をする。
すると向日葵のような笑顔を浮かべながら、こちらにやってきて私に話し掛ける。
「いらっしゃいフェイトちゃん、ゆっくりしていってね。」
「はい、ありがとうございます。」
「あ、そうそう、フェイトちゃんにお願いしたい事があるんだけどいいかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「えっとね、今店内で流すCMを自前で撮影してるんだけどそれに出てくれないかしら。
もちろん、出演料も出すわ。」
「私にできる事なら協力させて頂きますけど、本当に私なんかでいいんですか?」
「もちろんよ、フェイトちゃんみたいな可愛い子が出てくれるなら大成功間違いなしだわ。」
「あ、ありがとうございます。あ、それから出演料は結構です、桃子さんにはいつもお世話になっていますから。」
「ふふ、ありがとう、フェイトちゃん。
じゃあお茶が終わったら声を掛けてくれるかしら、お願いね。」
それだけ言い残して、再度厨房に消える桃子さん。
そんなやり取りを見ていた恭也さんが私に声を掛けてくれた。
「悪かったな、フェイト。母さんが変な事を頼んで、嫌だったら断ってくれてもいいんだぞ。」
「大丈夫ですよ、別にTVCMっていうわけじゃないですし、桃子さんのお願いですから無碍にはできません。」
「そうか、じゃあよろしくな。」
そんなこんなでお茶の後連れて来られた簡易スタジオで、何事かが書かれたA4用紙と綺麗にラッピングされたハート型の包みを渡された。
用紙には短い台詞が書かれており、どうやらこのセリフをカメラの前で告げればいいらしい。
「セリフとか動きはアレンジしてもらっても構わないからね、思い通りにやってね。」
こうして、冒頭のシーンに戻ることになる。
2014-01-16 07:00