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格言 [リリカルなのはss]

あたしはなのはさんの指示に従い、本来被害女性が入院するはずだった個室に来ている。

ベットに布団を丸め人型にし、その上に布団を掛け幻影魔法で顔を再現する。
私自身は物陰に隠れ、その時を待つ。

それから、5分ほどたったところで表からスバルと誰かの話し声が聞こえてきた。

しばらくして、個室のドアが開き誰かが入ってくる。
管理局員の制服を着た人間のようだ。

その人物はベット脇に立ち、対象が眠っていることを確認すると懐からおもむろにナイフを取り出す。

そして、それを振り上げ首に突き刺した。

『!!!』

「ストラグルバインド」

ナイフが幻影を突き抜けたことに驚愕する男に、あたしがバインドを発動するのはほぼ同時だった。

バインドの魔力が男を拘束する、副次的な効果として変身魔法が解け本来の姿を現す。
出てきたのはやはり管理局の制服を着た男だった、部隊章は外され確認ができない。

後は、なのはさんに連絡して身元を調べればと思っていたところ、男がポケットから小型の物体をベットの上に放り投げる。

思わず見てしまった瞬間それは眩い光を発し、部屋を閃光で埋め尽くす。

《しまった、閃光弾!!》

まともに見てしまった私の視界は0になる、あてずっぽでクロスミラージュを構えスフィアを男のいたところに発射するも手応えがない。
バインドが引きちぎられ、ドアが開いて男が駆け出す音が聞こえた。


続いて部屋に入ってくる、足音が聞こえた。

「大丈夫ッ?」
かなりあせった様子のなのはさんの問いかけに、目をしょぼつかせながら何とか答えた。

しばらくして、スバルからなのはさんに犯人を見失ったとの報告が入った。
まあ無理もない。
館内には同じよう格好をした局員が数え切れないほど詰めているのだ、その中から後ろ姿しか見ていない人物を見つけ出せというのがどだい無茶なのである。

後は、局内に設置された防犯カメラの映像の解析とあたしが記憶している人物の特徴から犯人を割り出すしかなさそうである。

ちなみに、被害者の女性は聖王医療院に転院してもらっているそうだ。護衛として、ヴィータさんとシャマル先生が付き添っているらしい。

スバルが、個室に戻ってきて私の顔を見るなりすごく驚いていた。どうやら、スバルはなのはさんから事前に説明を受けていなかったらしい。

そのことについてかなりなのはさんにくってかかっていたが、自分だけ信用してもらえなかったという思いと、親友がおとりとして使われ結果として危険な目にあったということが大きかったようだ。

まあ、あたしのことで怒ってくれるのは嬉しいけれど、あの子も『関係者以外は部屋に立ち入らせるな』と指示されていたのに持ち場を不用意に離れるからいけないのではないかと思う。あたし自身も、今回の作戦に関してそこまで詳しく聞かされてなかったし。

「まあまあ、そのへんにしときや。なのはちゃんも謝っとるし、そもそもアンタがその場で通信入れて確認すれば済んでたかもしれへんしな。」

「・・・」

無言で何やらまだ不満げなスバルに、我らが課長は
「わたしらの国の格言にな『敵を欺くにはまず味方から』っつうのがあるんよ。」

課長それフォローになってません。


部屋の空気がよどんできたところに、シャマル先生から連絡が入る。

保護した女性が目を覚ましたそうである。
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