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2章 外伝 彼の恋愛事情 [リリカルなのはss 外伝]

リビングの隅のほうでリンディ母さんとレティ提督がお酒を飲みながら談笑していた。
二人とも結構飲んでいるようで、顔がほんのり赤い。

今の話題は恭也さんの恋愛事情についてみたいだ。
興味があったので、不自然にならないように装いながら聞き耳を立てる。



「海鳴の方でも、忍さん、那美さん、美由希さん、晶さんにレンさん、フィアッセさん、フィリス先生にあとノエルさん。CSSの人達や国内海外で活躍してる何人かの女性。みんな容姿端麗で性格も悪くないのに、誰とも付き合ってないって話だし。」

「もしかして、彼ほ○?」


思わず飲みかけのサワーを吹き出してしまうところだった。
シグナムがこちらをいぶかしげに見ていたので、適当にごまかす。


「そ、それは無いと思うわ。何せ彼、男友達少ないし周りほとんど女の子ばっかりだから。」

「じゃあなんで。」

「もしかしたら昔、桃子さん達が言ってた『計画』を実行中なのかしら。」


『計画』ってなんだろって思っていたら、同じ疑問を持ったレティ提督が母さんに尋ねていた。

「なによ、その『計画』って。」

「将来有望な女の子に小さい頃から粉をかけて自分好みに育てる『光源氏計画』よ。
なのはさん達がまだ小学生の頃、翠屋で桃子さんと美由希さんが彼が未だに恋人を作らないことに対して出した答えの一つ。もっともそれを聞いていた彼に二人ともあとでお仕置きされてたみたいだけど。」

「なるほど、確かに分からなくもない話ね。」

「そうよね、なのはさんもはやてさんも家の娘も海鳴のアリサさんもすずかさんも本当に美人になったし。この中の誰かを狙ってるのかしらね。」


え、すずかもなの?アリサが恭也さんを好きなのは前から知ってたけど、すずかはどうなんだろ。あんまり表にださないから・・・でも確かに恭也さんの前だと私達の前では見せないような笑顔見せてたからそうなのかも。


「でも、なのはさんはまずいでしょ。社会道徳的な意味で。」

「でも、桃子さんあたりだったら喜んで許可しそうなんだけどね。お互いがよければOKって。禁断の兄妹愛なんか淫靡な響きね。」


私もそう思ってしまった。桃子さんだったら、あの人だったらやりかねない。


「でも彼が誰を選ぶにしてもひと騒動起きそうね。」

「そうね、海鳴にいる人達もそうだけどミッドにも彼に好意を寄せてる娘が多いからね。はやてさんはどちらかって言うと敬愛の感情みたいだし、ヴォルケンリッターの娘達は信頼できる仲間って言う捉え方みたいだけど、なのはさん、フェイト、ギンガは確実だし、最近だと騎士カリムやティアナの辺も怪しいのよね。」


うぅ~ライバルが増えてる。


「彼を巡る争いでも起きたら、ミッドごと吹き飛びそうね。」

「リアルに想像できて嫌な光景ねそれは。」

「でも今のところ、彼が誰かにアプローチかけた形跡ってないわよね。」



「・・・はっ、まさかッ」


どうしたんだろう母さん、突然固まって。



「どうしたのリンディ。」

「もしかしたら彼、ロ○コンかもしれない。それなら、ヴィヴィオの可愛がり様も説明がつくわ。」


ブッ ゴホッゴホッ 派手にむせた。
シグナム、はやてがこちらを見ている。あ、まずい、はやてが『面白いもの見つけた』的な表情になってる何とかごまかさないと。





「何を馬鹿な事を言ってるんですか、リンディさん。俺はノーマルですよ。」


席を外していた恭也さんが戻ってきて、呆れたように返す。
その後ろには、なのはが苦笑いしながら立っていた。


「じゃあなんで、誰とも付き合おうとしないのよ。」

「こんな面白みのない男を好きになってくれるような女性はいませんよ。
それに先ほど出た人達は皆大切な親友であり家族ですよ。それに皆本当に綺麗で心優しい女性ばかりです、むしろ彼女達に恋人がいない事の方が不思議なんですがね、男だったら惹かれて当然だと思うのですが。」

《《・・・・・(あなたのせいよ)》》
《お兄ちゃんのせいだよ》
《恭也さんのせいだと思います》



キュピーン

あ、母さんが何か悪戯を思いついたようだ。目が怪しく輝く。



「ねえ、恭也さん。だったら、私と付き合ってみない。でもやっぱり40過ぎで薹が立ったようなおばさんは嫌かしら。」

「そんな事ありませんよ、お二人ともまだまだお若いですしお綺麗ですよ。むしろ俺では釣り合いが取れません。」




「「////」」


年齢を重ねて、大人の色気も混じってきた恭也さんの必殺スマイル。
間近でにっこり微笑まれて二人は茹蛸のように真っ赤になる。


《グリフィスももう一人立ちしたから、自分の幸せ追っても問題ないわよね。》

《クライドさんごめんなさい。わたし、新しい恋を見つけました。》


あ、母さんまで落ちた。

目の前の二人の様子が理解できず、ぼうっとしている恭也さんになのはが憮然として言う。




「お兄ちゃん、節操なさ過ぎです。」



私も激しく同意。
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