2章 外伝 過ぎ去りし青春 [リリカルなのはss 外伝]
「お兄ちゃんが襲われたってホント!?」
出先で通信を受けて、慌てて特捜課のオフィスに駆け込むと中にははやてちゃん、フェィトちゃん、シグナムさん、シャマル先生がいた。
「なのはちゃん、落ち着いてや。襲われたんは事実やけど、怪我一つしてへんで大丈夫や。」
はやてちゃんの話によると、お兄ちゃんが戦技教導で呼ばれて行った部隊の隊舎の廊下で局員にいきなりナイフで襲い掛かられたが、こともなげに取り押さえたそうである。
お兄ちゃん曰く、『あれだけ殺気をばら撒いてたらサルでも分かる』だそうだ。
「でも、どうして襲われたんだろ?」
私の頭に先日ソニア提督から聞かされた話が掠める。
『恭也の存在を疎ましく思っている連中がいる』というものだった。詳しく聴いてみると、大した魔力もないのに高位魔導師を圧倒する戦闘力を脅威に感じている幹部が何人かいるとのことだった。
魔力の大きい者に関してはデバイスや本人に能力リミッターをかけることで一応の安全装置としているが、お兄ちゃんの場合は純粋に体術なのでまさかウェイトをつけさせるわけにもいかず制約のかけようがないのだ。
先日の特務機動隊事件後、体内に小型発信機を埋め込むか、例の子供達に使われていたような遠隔爆弾を埋め込むという話まで出たようだが流石にそれは却下されたそうだ。
今まではずっと裏で活動していたのであまり目立っていなかったが、ここ最近表で活躍して目立ったことによりお兄ちゃんを危険視する向きが一層厳しくなっているとのことだった。
ソニア提督が危惧していたのは、合法的に葬られることだった。
というのも連続で任務に当たらせ疲弊している状態で、危険度Sの任務につかせることによって殉職させる。もしくは模擬訓練中の事故を装って闇に葬る可能性がある。
ただ一点救いがあるとすれば、先日お兄ちゃんが聖王教会の名誉騎士資格を得た事だ。
聖王教会という後ろ盾を得たことによって、管理局幹部も直接的な排除はしにくくなったとのことだ、ただし嫌がらせ的な圧力は今も続いているそうだが。
『騎士カリムに感謝だ』とソニア提督は言っていた、というのもいくら聖王を救出するという偉業を成し遂げたにせよ、お兄ちゃんが"前科者"たる事実は消えるものではなくその人間に名誉ある騎士資格を与えるのは教会内でも相当強い抵抗があったであろう事は容易に想像できる。
お兄ちゃんもその辺のことは充分理解しているのだろうが、そのことに対して直接感謝の言葉を述べることはなかった。おそらく、行動を持って感謝の意を示すつもりなのだろう。
「まさか、本当に管理局の人間が・・・」
「あのな、なのはちゃん・・・それなんやけど・・・」
「ごめん、なのは。私のせいなの。」
「???なんでフェイトちゃんが謝るの。どういうこと?」
「襲撃犯は、テスタロッサの熱烈なファンだったそうだ。」
シグナムさんが教えてくれたところによると襲ってきた局員はフェイトちゃんの熱烈なファンだったらしく、先日の事件の際親しげに話しているお兄ちゃんに殺意を覚えたそうだ。
その時あった会話が、
『俺を襲えと、誰に命じられた?』
『誰でもない俺自身が貴様を許せないだけだ。フェイトさんに色目を使いやがって、この犯罪者が!!』
『なぜにそこでフェイトの名が出てくる!?』
『フェイトさんを呼び捨てにするなッ、この女たらしのロリコン野郎。』
『・・・・・・』
ゴスッ
『襲撃の現行犯一名確保。』
周りの視線が痛かったとあとでもらしていたそうだ。
「フェイトちゃんは全然悪くないよ。フェイトちゃん優しいし美人さんだから、人気者は大変だね。」
「なのは・・・ありがとう。でも、なのはだって強くて可愛いから私より人気があるんだよ。」
「そやで、なのはちゃん、無自覚は罪やで。さっき念の為恭也さんに連絡取った時にな、言われたんよ『俺はなのはへのメッセンジャーじゃないぞ』て、どうも恭也さんがなのはちゃんの兄だと知った連中が『お義兄さん』と呼んでまとわりついてきてるらしいで、『将を射るには馬を射よ』ののりみたいやけどな。今のところ『順番が違うからまず本人に告白して受け入れてもらってから来い』って諭してるらしいんや、でもこのままだとその内『なのはと付き合いたければ俺を倒してからにしろ』とか言い出しかねへんで。」
「そ、それは駄目だよ。そんなことになったら、お嫁さんに行けなくなっちゃうよ。」
「大丈夫だよ、なのは。恭也さんだったらなのはの選んだ人なら認めてくれるだろうし、いざとなったら桃子さん頼ればいいんだから。」
「確かに、桃子さんの言うことやったら恭也さん聞くやろな。
でも、羨ましいわー。二人とも男の人に好かれてモテモテやもんな~。」
「あら、はやてちゃんにも結構アプローチはあるのよ。海鳴にいた時も結構家に男の子が訪ねて来てたみたいだし。
でもほとんど、シグナムとヴィータちゃんが追い返しちゃったみたいだけど。」
ギギギギ という擬音が聞こえそうな感じではやてちゃんがシグナムさんに顔を向ける。目が笑ってない。
シグナムさんが真っ青になりながら言い訳をする。
「主はやてを守るのが我等ヴォルケンリッターの勤め、あのような軟弱者達には主を任せることはできません・・・」
「なあシグナム、あんた達が私の為を思ってやってくれるんは嬉しいんよ。でもな、これはやり過ぎや。『小さな親切大きなお世話』や、私の青春返してんか!」
「「・・・青春・・・あったかな?」」
出先で通信を受けて、慌てて特捜課のオフィスに駆け込むと中にははやてちゃん、フェィトちゃん、シグナムさん、シャマル先生がいた。
「なのはちゃん、落ち着いてや。襲われたんは事実やけど、怪我一つしてへんで大丈夫や。」
はやてちゃんの話によると、お兄ちゃんが戦技教導で呼ばれて行った部隊の隊舎の廊下で局員にいきなりナイフで襲い掛かられたが、こともなげに取り押さえたそうである。
お兄ちゃん曰く、『あれだけ殺気をばら撒いてたらサルでも分かる』だそうだ。
「でも、どうして襲われたんだろ?」
私の頭に先日ソニア提督から聞かされた話が掠める。
『恭也の存在を疎ましく思っている連中がいる』というものだった。詳しく聴いてみると、大した魔力もないのに高位魔導師を圧倒する戦闘力を脅威に感じている幹部が何人かいるとのことだった。
魔力の大きい者に関してはデバイスや本人に能力リミッターをかけることで一応の安全装置としているが、お兄ちゃんの場合は純粋に体術なのでまさかウェイトをつけさせるわけにもいかず制約のかけようがないのだ。
先日の特務機動隊事件後、体内に小型発信機を埋め込むか、例の子供達に使われていたような遠隔爆弾を埋め込むという話まで出たようだが流石にそれは却下されたそうだ。
今まではずっと裏で活動していたのであまり目立っていなかったが、ここ最近表で活躍して目立ったことによりお兄ちゃんを危険視する向きが一層厳しくなっているとのことだった。
ソニア提督が危惧していたのは、合法的に葬られることだった。
というのも連続で任務に当たらせ疲弊している状態で、危険度Sの任務につかせることによって殉職させる。もしくは模擬訓練中の事故を装って闇に葬る可能性がある。
ただ一点救いがあるとすれば、先日お兄ちゃんが聖王教会の名誉騎士資格を得た事だ。
聖王教会という後ろ盾を得たことによって、管理局幹部も直接的な排除はしにくくなったとのことだ、ただし嫌がらせ的な圧力は今も続いているそうだが。
『騎士カリムに感謝だ』とソニア提督は言っていた、というのもいくら聖王を救出するという偉業を成し遂げたにせよ、お兄ちゃんが"前科者"たる事実は消えるものではなくその人間に名誉ある騎士資格を与えるのは教会内でも相当強い抵抗があったであろう事は容易に想像できる。
お兄ちゃんもその辺のことは充分理解しているのだろうが、そのことに対して直接感謝の言葉を述べることはなかった。おそらく、行動を持って感謝の意を示すつもりなのだろう。
「まさか、本当に管理局の人間が・・・」
「あのな、なのはちゃん・・・それなんやけど・・・」
「ごめん、なのは。私のせいなの。」
「???なんでフェイトちゃんが謝るの。どういうこと?」
「襲撃犯は、テスタロッサの熱烈なファンだったそうだ。」
シグナムさんが教えてくれたところによると襲ってきた局員はフェイトちゃんの熱烈なファンだったらしく、先日の事件の際親しげに話しているお兄ちゃんに殺意を覚えたそうだ。
その時あった会話が、
『俺を襲えと、誰に命じられた?』
『誰でもない俺自身が貴様を許せないだけだ。フェイトさんに色目を使いやがって、この犯罪者が!!』
『なぜにそこでフェイトの名が出てくる!?』
『フェイトさんを呼び捨てにするなッ、この女たらしのロリコン野郎。』
『・・・・・・』
ゴスッ
『襲撃の現行犯一名確保。』
周りの視線が痛かったとあとでもらしていたそうだ。
「フェイトちゃんは全然悪くないよ。フェイトちゃん優しいし美人さんだから、人気者は大変だね。」
「なのは・・・ありがとう。でも、なのはだって強くて可愛いから私より人気があるんだよ。」
「そやで、なのはちゃん、無自覚は罪やで。さっき念の為恭也さんに連絡取った時にな、言われたんよ『俺はなのはへのメッセンジャーじゃないぞ』て、どうも恭也さんがなのはちゃんの兄だと知った連中が『お義兄さん』と呼んでまとわりついてきてるらしいで、『将を射るには馬を射よ』ののりみたいやけどな。今のところ『順番が違うからまず本人に告白して受け入れてもらってから来い』って諭してるらしいんや、でもこのままだとその内『なのはと付き合いたければ俺を倒してからにしろ』とか言い出しかねへんで。」
「そ、それは駄目だよ。そんなことになったら、お嫁さんに行けなくなっちゃうよ。」
「大丈夫だよ、なのは。恭也さんだったらなのはの選んだ人なら認めてくれるだろうし、いざとなったら桃子さん頼ればいいんだから。」
「確かに、桃子さんの言うことやったら恭也さん聞くやろな。
でも、羨ましいわー。二人とも男の人に好かれてモテモテやもんな~。」
「あら、はやてちゃんにも結構アプローチはあるのよ。海鳴にいた時も結構家に男の子が訪ねて来てたみたいだし。
でもほとんど、シグナムとヴィータちゃんが追い返しちゃったみたいだけど。」
ギギギギ という擬音が聞こえそうな感じではやてちゃんがシグナムさんに顔を向ける。目が笑ってない。
シグナムさんが真っ青になりながら言い訳をする。
「主はやてを守るのが我等ヴォルケンリッターの勤め、あのような軟弱者達には主を任せることはできません・・・」
「なあシグナム、あんた達が私の為を思ってやってくれるんは嬉しいんよ。でもな、これはやり過ぎや。『小さな親切大きなお世話』や、私の青春返してんか!」
「「・・・青春・・・あったかな?」」
2009-07-27 09:28