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58章 本棚10 [リリカルなのはss]

「さて、そろそろお暇するとしよう。」

(コクン)

「と、その前にこのふざけたパーティに招待してくれたホストに挨拶だけしていくか。」

頷く私達を確認した後、恭也さんはドアの方を見て呟く。
入って来たのはクライアントと言われていた眼鏡の女。
警戒した様子でこちらを伺いながら彼の背中に問うてくる。

「外がやけに騒がしいみたいだけど、何かあったの?
それに何でそいつらの拘束を解いてるの。」

「なに、外でダンスパーティが開かれてるんだ。
だから、こうして二人を誘いに来たのさ。」

ゆっくり振り返りながら答える恭也さんに、異常を感じ壁際の内線を見ながらさらに質問を重ねる。

「あなた、何者?」
「なに、招かざる客だよ。」

小太刀の柄にゆっくりと手を掛け、近付く恭也さんに女は身の危険を感じたようで内線に跳びつき館内放送で異常事態発生をコールするがしばらくしても何の動きもないことに焦り出す。
そうこうする内に目の前に迫った黒尽くめ。
一縷の望みを託して訴える。

「あなた、男のくせに武器も持たない無抵抗の女を痛めつけようっていうのッ!!」
「悪いな、俺は男女で差別はしない主義なんだ。」

苦笑を浮かべて言うが早いか、柄頭を鳩尾に打ち込みその意識を刈る。
基本フェミニストの彼が犯罪者とはいえ女性にここまでの事をしたという事は、今回の件に関して相当怒っていたという事だろう。
それが何となく分かって少し嬉しかった、自分達の大好きな人が私達の為に真剣に怒ってくれたのが。
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