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58章 本棚6 [リリカルなのはss]

「今すぐその汚い手と顔をその子から離せ。」
「何者だ?テメェ。」

首筋に刃物を添えられた状態で声を出せる男は大した胆力なのかもしれない。
微塵も感心も尊敬もしないけど。

「唯の付添いだ。
それより答えはどうした?自分で出来ないなら斬り落として目的を達するだけだぞ。」

首筋に当てられた刃に力が篭もり、紅い線が切先に走る。
それを受けて男が肘を直角に曲げわざとらしくゆっくり大きく両手を上げる。
右手を止めた瞬間、袖口に隠していたと思われる飛び出しナイフの刃が跳ね上がる。

「テメェが"王子さま"ってかッ!!」

今までの緩慢とした動きから打って変って、集中して見ていた私の目で何とか追える程の俊敏な動作で男が背後の襲撃者をナイフで薙ぐ。

zasuu

何かが肉を断つような鈍い音が室内に響き渡る。
見れば男の手に金属棒が刺さっていた。
痛みのあまりナイフを取り落としその場に膝をついて蹲る男に襲撃者は冷たく言い放つ。

「この子達の前じゃなければ手首ごと斬り落としてたところだぞ。
凄惨な光景は見せたくないんでな、しばらくそこで大人しくしてろ。」
「"悪霊"の方だったか・・・」

刀の鞘で首筋に強烈な一撃を喰らい、悪態を吐きながら崩れる男。
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